仔猫の皮膚糸状菌による皮膚病(落屑状皮疹)
2013.03.01更新
■仔猫の皮膚糸状菌による皮膚病(落屑状皮疹)
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症例は3ヶ月の雌の日本猫です。
尻尾の先が「白い物が出てきて」で皮膚病になったので来院しました。
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●仔猫の真菌(皮膚糸状菌)
仔猫の皮膚病で皮膚糸状菌が原因の疾患は時々診ます。
もともと猫は皮膚糸状菌と共存関係にあり、殆どの猫がもっていると考えられています。
仔猫の皮膚糸状菌皮膚病はの皮膚糸状菌数が多かったり、猫の免疫状態が弱いとおこります。
犬は幼少期、細菌が原因で皮膚病をおこしますが、猫は皮膚糸状菌でおきます。犬は皮膚糸状菌による皮膚病は多くありませんが、ときどき発生します。とくにヨーキーは好発犬種です。
皮膚糸状菌は下記のように何種類かあり、疾患に陥る動物も種類で代わります。
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●皮膚糸状菌は主に下記のような種類がいます。
●Microsporum canis
皮膚糸状菌中の犬の70%、猫の99%が罹患しています。うさぎ、フェレットにも希に感染します。動物から動物、動物から人に感染します。毛が好きな皮膚糸状菌です。
サブロー寒天培地では発育速度は速く、色調は淡黄色になります。大分生子は表面に粗棘のある紡錘形を示します。先端細く、細胞壁が厚く、薄い隔壁が特徴です。
完全世代もありますが、臨床で診られるMicrosporum canis は99%無性生殖です。
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●Microsporum gypseum
多い皮膚糸状菌ではありません。犬、猫、うさぎなどに希に感染します。土壌に原因があり、野外で保護された動物は注意です。
サブロー寒天培地では発育速度は速く、色調は褐色になります。表面に粗棘のある樽型の大分生子で先端深く、細胞壁が薄く、隔壁が特徴です。また梨状の小分生子を示します。
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●Trichophyton mentagrophytes
皮膚糸状菌中の犬の20%が罹患しています。猫は希で、ハムスター、モルモット、うさぎ、フェレット、ハリネズミなどエキゾチックには多く見られます。
動物から動物、動物から人で感染し、皮膚角質が好きな真菌です。
サブロー寒天培地では発育速度は速く、色調は褐色-黄褐色になります。
大分生子は表面平坦で、棘のない棍棒状・ソーセージ状のずんぐりした形態が特徴です。螺旋菌糸があり、また球状の小分生子を示します。
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●Trichophyton rubrum
このTrichophyton rubrumは人で一番よく診られ、皮膚角質が好きな皮膚糸状菌です。本来動物にはいません。
しかし研究会では犬で発生報告があり、オーナーがTrichophyton rubrumに罹患していて、スキンシップで、人から犬に感染したことが考えられます。人から動物に感染する珍しいケースです。
サブロー寒天培地では発育速度は遅く、色調は猩紅色になります。
大分生子は表面平坦で、棘のない鉛筆状の形態が特徴です。
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●環境
乾燥環境中に落下した皮膚糸状菌は、1~7年間は感染性を保持すると言われています。特に猫を世代を超えて飼育している方は、部屋の掃除も大切です。
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