小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2014.10.03更新

■猫の皮膚糸状菌症・疥癬
幼猫の皮膚病は
①皮膚糸状菌症
(写真・猫の皮膚糸状菌症、ミクロスポーラム属(Microsporum)の大分生子
②疥癬
③ノミ
④耳ダニ症
などの感染をよく診ます。
 これらの疾患はすべて人に感染する可能性もあり注意して下さい。


■猫のノミ 
 この猫は保護して2-3日経ってから、「黒コショウ」のようなノミが発見されるようになりました。
 まだ推定30日なので薬剤は使用は考える余地があります。
 今回はノミ取り串でできる限りとりました。
 
 ノミを駆虫する駆除剤では、レボリューションは生後6週間から可能です。
 経験的にはこの時期から結構、効能外使用をおこなってますが副作用の経験はありません。

 ノミは人・犬・うさぎ・フェレットにも感染しますので注意が必要です。

■猫の疥癬(Sarcopte scabiei)   
 皮膚検査で検出した疥癬成虫と疥癬卵。
 
◆人に一時的に感染することはありますが、猫疥癬は人の皮膚では繁殖できないため離れていきます。
しかし激しい痒みを生じますので、注意は必要です。


 犬の疥癬症を引き起こすのは、センコウヒゼンダニで、キツネやタヌキにも感染します。
 一方、猫の疥癬症を引き起こすのは、ショウセンコウヒゼンダニで、ネコ科の動物のアライグマやハクビシンで感染報告があります。
 また人疥癬はヒトとサルに感染します。

 ■猫の耳ダニ症
 外耳道に黒褐色の悪臭のある耳垢多くでます。
猫は痒みのためにしきりに耳を掻いたり、頭を振ったりします。
また外耳に傷をおって来院するケースもあります。
 耳を異常に痒がるときは早く動物病院へいってください。
 発見が早ければ、背中に滴下する薬剤で治ります。
 
 耳ダニは、外耳に卵を産み付けて増えていきます。
卵がふ化すると、幼ダニ、若ダニの時期をへて、3週間ほどで、成ダニとなります。
 
 耳ダニが寄生している猫と接触することで感染が成立します。
 
 人の耳には感染しませんが、人の皮膚には感染する可能性を示唆する意見もあります。
 人の皮膚では長期は生存は不可能なので、ミミダニが寄生している猫と接触したら、よく洗うことで感染予防は可能と考えられています。

 ■皮膚糸状菌とは数種類ある真菌(カビ)の1種類を指します。

◆皮膚糸状菌には
Microsporum属、Trichophyton属、Epidermophyton属
があり、動物では前者2つの感染が主です。
 

 皮膚糸状菌が動物の皮膚に感染して、表皮の角質層、被毛、爪鉤において増殖する皮膚病です。

 動物の皮膚も人同様、皮膚バリアーで保護されていて、外部からの病原体は侵入できないようになっています。
 しかし湿気が多い環境で皮膚が弱っていたり、仔猫では免疫が弱い個体は発症する場合もあります。
 成猫でも猫白血病、猫エイズなど免疫を弱らせる疾患にに罹患していると同様に発症が診られます。

◆診断 
 毛の顕微鏡検査・また真菌培養などでおこないます。
人畜共通伝染病のひとつですので注意して下さい。
 感染率が高い病気ではありませんが、猫を触れた後は手洗い等を十分にしてください。免疫の弱い幼児、他の疾患に罹患している大人は特に注意です。

◆治療
 抗真菌剤の投与になります。皮膚病が小さければ猫なら抗真菌のシャンプーなども可能です。


作者: オダガワ動物病院