■緑内障治療薬
緑内障は犬では柴・コッカスパニエル・シーズーに多い疾患です。
主に眼圧が高くなる病気で、この影響で、視神経が束になっている視神経乳頭が障害され、眼が見えにくくなる進行性の病気です。
病気の分類は急性と慢性にわかれます。
とくに急性は早くに処置をしてあげないと、矢眼になります。そのため緊急な処置が必要です。
写真のように目がおおきくなると回復は困難です。
■ラタノプロスト点眼
主流出路のブドウ膜・強膜排泄路を介した、房水流失促進作用のためです。
犬ではこの経路が40-60%を占めており最も効果がある動物です。
容量依存性の眼圧下降作用を示します。本来は人用ですが人・猫では流失路の関係で犬ほどの効果はありません。(他は副流出路 毛様体筋間・脈絡膜循環)
■レスキュラ点眼
レスキュラは「縮瞳を伴わない房水流出促進作用」を有する最初の代謝型PG系緑内障・高眼圧症治療剤です。
動物では犬猫の緑内障に使用します。レスキュラ点眼は、「ocular 目を 」・「rescue 救う」ことにちなんで、レスキュラ Resculaと命名した造語だそうです。
■ドルゾラミド
炭酸酵素阻害剤の点眼液で、犬の緑内障で使用します。毛様体での房水産制抑制して眼房水の産生を止めます。
日本は1%点眼が、海外では2%点眼も含めて使用されています。
1%点眼、2%点眼も粘稠性が高い点眼液で、点眼液が回りにもれると、眼瞼の周りを掻くことが多くあります。
■マンニトール
マンニトールは浸透圧勾配で眼内の水分を血液内に引き出すことにより、硝子体容積を減少させて、眼圧を低下させます。
点滴が必要で、一時的な作用です。
■アセタゾラミド
薬理学的には炭酸脱水素酵素阻害薬の利尿剤にはいります。サルファ剤に軽度の利尿効果があることが判明したので、この炭酸脱水素酵素阻害薬が開発されました。しかし副作用が強く現実的には殆ど使用されてません。
炭酸脱水素酵素阻害して毛様体上皮における房水産制を抑制します。以前は眼の炭酸脱水素酵素阻害で他の臓器の炭酸脱水素酵素阻害にはあまり影響しないダラナイト(ジクロルファナック)がありました
副作用として、最初はHCO3-の減少に伴い、AGは一定の高Cl-性代謝性アシドーシスをおこします。H+が呼吸中枢を刺激し、その後代謝性アシドーシスが代償されて、パンテングがおこり、呼吸性アルカローシスに移行するケースもあります。呼吸性アルカローシスになると、H+が細胞外にでるので、Kが細胞内に入り低kになります。
その他副作用として嘔吐、沈鬱の症状があります。
半減期は6-9時間です。やめれば36時間で回復します。
■イソソルビト、商品名 イソバイト
浸透圧利尿剤に属する二価アルコールの製剤です。日本では70%溶液が販売されています。
動物では眼圧降下作用や水頭症時に使用します。詳細は不明で、高張液なため長期の使用は薦められません。
心臓病に使用する硝酸イソソルビト(化学的安定のため硝酸が糖と結びつきます。尚硝酸イソソルビトには利尿作用はありません。)とイソソルビトは全く異なる薬物です。イソバイトには心臓への直接作用はありません。
イソソルビトとグリセリンの両剤を飲んだ経験のある獣医師の話だと、イソソルビトはグリセリンより相当「まずい」薬剤です。