小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2014.10.06更新

■瀉下薬(Laxative) 
瀉下薬とは下剤、便秘薬のことを指します。
分類は専門書で異なります。

Ⅰ・膨張性下剤
消化されず食滞は水分を吸収して消化管を伸展刺激する。
ヒルズW/dなど

Ⅱ・便軟化剤
 界面活性作用あり、水分の吸収を妨げ作用します。ピサコジルは直腸刺激性をする下剤としてコーラック®が有名です。この項目はV・刺激性下痢に入れている専門書もあります。

Ⅲ・浸透圧下痢
 成分は殆ど腸管から吸収されない塩類や糖類です。腸管の浸透圧が上昇して、大量の水分を引きこむことで、便を軟らかくします。習慣性がないため長期的に服用あ可能です。犬猫では使用頻度の多い薬剤です。

Ⅳ・湿潤性下痢
 ゲリセリン・流動パラフィンなど。水分の吸収を妨げ、滑りを良くします。ゲリセリン浣腸は犬猫では最も効果あると考えられますが、習慣性もあります。また高張液であり脱水の動物への使用はより慎重になります。

V・刺激性下痢
①フェノールフタレイン系 犬猫は殆ど使用なし。
②アントラキノン系、大腸刺激性下剤としてアロエ、センナ(ヨーデル®)、センノシド、ダイオウ
③ジフェニルメタン系、大腸刺激性下剤 ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン®)

 刺激性下痢は大腸または直腸を直接刺激して蠕動運動をおこす薬剤です。使い続けると、習慣性があり連用により腸が薬剤刺激に慣れてしまい、薬用量がどんどん増える欠点があります。
 習慣性、連用性があるため、長期間大量に服用はしないことが大切です。
■成分名 ピコスルファートナトリウム水和物、一般名 ラキソベロン® 
 
 ヒト用の刺激性便秘薬で液体0.75%、錠剤があります。
液体は犬猫では食事に滴下して使用しますが、動物での効果はないと判断されている薬剤でまた薬理作用からも使用は薦められません。 

 ピコスルファートナトリウムは、胃、小腸ではほとんど作用せず、大腸細菌叢由来の酵素アリルスルファターゼにより加水分解され、白色の結晶性の粉末でにおい及び味はない活性型のジフェノール体になります。(ラット)
 ジフェノール体は腸管粘膜への以下の作用により瀉下作用を示しますが
1.腸管蠕動運動の亢進作用(ラット)
2.水分吸収阻害作用(ラット)

 ヒトでは大腸検査の前処置として排便に使用する薬剤です。

 1回きりなら良いですが、この薬剤は大腸、直腸をむりに刺激して蠕動運動を誘発しています。

 使い続けることによって腸が刺激に慣れてしまい、薬用量が右方上がりに増えて、最後は薬なしでは動かなくなります。また効果が無くなることもあります。

 そのため腸内環境は悪化していき、とても維持使用は薦められません。

 刺激性薬剤はピコスルファートナトリウム水和物の他にヒマシ油、センノシド、ピサコジル、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムがこの分類に入ります。  

 またラキソベロンの液体は誤って点眼したケースもあり注意が必要です。
下部消化管(大腸)で、腸内細菌(ビフィズス菌、乳酸菌)によって、分解され、有機酸(乳酸・酢酸)が、産生される。この有機酸は、腸管内pHを酸性化させ、アンモニア産生菌の発育を抑制し、腸管内アンモニアの吸収を抑制する(下痢も起こる)。
 従って、ラクツロースの内服は、高アンモニア血症を、改善する。
■ビサコジル Bisacodyl
 成分名はビサコジルは刺激性薬剤に入ります。
 
 ビサコジルは動物専門書に多くの記載があり、製品名は座薬の医療品としてテラミンソフト®、OTC剤で有名なコーラック®などがあります。なおコーラック®は腸溶解なため潰しての使用すると効果は無くなります。(写真はコーラック®)

 犬猫では座薬の使用は良好ではありません。錠剤は便秘の短期使用なら良好な結果が期待できる場合が多いですが、長期の維持のためにはの使用は疑問のある薬剤です。
●成分名 α-シクロデキストリン 犬猫用 アリスタライフサイエンス社 経口
 シクロデキストリン(cyclodextrin)は、「シクロ(cyclo=環状)」と「デキストリン(dextrin=オリゴ糖)」の合成語で、ブドウ糖が6つ結合して輪になったものを「α-シクロデキストリン」といいます

作者: オダガワ動物病院