■ヒトが犬猫に噛まれたり、猫にひっかかれたらどうしましょう。
怪我がひどいヒトは早めに医者にお尋ねください。この項は獣医師の視点から述べます。
■診療中に猫に噛まれた著者の指
猫の口腔内の微生物数はヒトや犬と変わらないが、その歯は鋭く、関節を直接咬まれると、細菌は免疫系の目の届かない手首などの腱鞘や関節に入り込んで増殖ができるため、小さな咬傷でも大きな病気に発展する可能性はあります。
犬猫の口内はパスツレラ属(Pasteurella)・カプノサイトファーガ カニモルサス(Capnocytophaga canimorsus)などの菌が、
また猫の爪にはグラム陰性の桿菌であるバルトネラ・ヘンセイレ(Bartonella henselae)が人体に病気を罹患させる猫ひっかき病があります。
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■犬の口の中(10才のダックス)
犬猫の口内はパスツレラ属は(猫の口腔には約100%、爪には70%、犬の口腔には約75%の高率で常在菌として存在している)またカプノサイトファーガ・カニモルサスなどの菌が常在します。
そのため犬にオーナーの顔口を舐めさせたりすることをよく見ますが禁忌事項です。
また犬と同じ食器で食事をしてパスツレラに罹患したヒトがテレビで紹介されていたこともありました。
また安易に寝室に上げないことなどが大切です。人の免疫力が低下した場合は特に罹患しやすので注意が必要です。
また犬に舐められた手でおにぎりを握って食中毒になった例もあります。
感染症に詳しい医者のコメントでは、軽度でも犬猫では上記した細菌が常在しているため、病院で抗菌剤を最低3日間ぐらい処方してもらうことが良いそうです。
尚噛まれた部位を水道水で洗うことは重要ですが、消毒は賛否あります。
■対策
犬猫から可能な限り咬傷や掻傷を受けないようにすることが予防の基本です。ペットにオーナーの口を舐めさせたり、また舐めたりしないことは禁忌です。ペットと同じ食器で食事をして罹患した方がテレビで紹介されていたことがありました。また寝室に上げないことなどが大切です。ヒトが免疫力が低下した場合にも罹患しやすので注意が必要です。このように歯石はばい菌の固まりです。ヒトが噛まれたら発熱・倦怠感などおこしてもおかしくありません。
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■犬と歯磨き
注意点として、無麻酔で鉗子(写真)などで歯石を除去する方法は禁忌です。
この処置をおこなうと後になってより多くの歯石がつきます。また顎の骨が折れた症例が研究会で報告されています。
10歳シュナウザーの口腔内写真。
このような犬に鉗子などで歯石を除去することはしないでください。鉗子による無麻酔の歯石除去は禁忌です。
■猫ひっかき病
猫に噛まれるよりむしろ引っかかれることで、猫ひっかき病に感染します。
ヒトは感染した部位の支配リンパ節が腫れます。
友人の獣医師で診療中に猫に右手を噛まれ、後日、右の腋窩リンパが腫れた方がいました。
無処置で1ヶ月、放置したとこるよくなったそうです。このように軽度なら経過観察でよくなる場合もあります。
しかし、まれに全身に感染することもあります。
この疾患は猫の爪にいるグラム陰性桿菌であるバルトネラ・ヘンセイレによって引き起こされます。
日本の猫の9-15%が保有しています。
猫同士の感染にはノミが関係はしているみたいですが、猫同士は感染しても症状はだしません。
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