犬の甲状腺機能低下症
2014.05.01更新
■犬の甲状腺機能低下症
犬の甲状腺低下は自己免疫疾患で、そのため年齢は4-6才ぐらいから発症がおきるとされています。自己免疫疾患なので高齢になっての発生は稀です。
甲状腺機能低下は冬また朝に多い病気です。
発生は大型犬が多いとされてますが、日本では中-小型犬の発生もあります。
猫は自己免疫疾患は殆どないので、甲状腺低下の報告はありません。
●症状
甲状腺ホルモンは熱産生・脂質分解作用・糖代謝に関与・発生成長・血液に関与しており、いかなる細胞も産生が抑えられます。
被毛粗銅、カール状のつやのない毛
そのため、疲れやすい、元気がない、被毛粗銅、カール状のつやのない毛、食事管理をしても体重が減少しずらい。外耳炎がなおりにくい。鼻、尾が脱毛・色素沈着といった症状がでます。
また甲状腺機能低下の皮膚は粘液水腫(簡単に言えば浮腫)がおきることがあります。普通の浮腫は皮膚を手で押すと窪みますが、粘液水腫は窪みません。
甲状腺機能低下の皮膚は皮膚が堅くなるコラーゲンに変化して、このような変化がおきるとされています。
●診断
奇形赤血球
血液検査では貧血、ストレスパターン、血小板の減少が見られます。生化学検査ではコレステロールの上昇や血液スメアで奇形赤血球がみられることもあります。
この症例は被毛粗銅・カール状のつやのない毛に加え、コレステロールが高く、T-cho450mg/dl以上ありました。
これらの症状が診られたので、甲状腺低下症を疑い、甲状腺のホルモンの測定(T4値)し診断しました。
心臓、肝臓、腎臓、副腎機能低下症など併発症がある場合、疾患のために甲状腺ホルモン(T4値)が著しく低下していることが多く鑑別が大変です。
このような場合は甲状腺の検査はT4のみでなく、T4、FT4、TSH、3項目を測定した法が感度もよく、一次性・二次性の鑑別もつきます。しかし経費がかかることが欠点です。
本症例はT4のみの測定で0.6μg/dl(参考値0.5-3.5μg/dl)でしたので、甲状腺ホルモン剤を処方した症例です。
一般に甲状腺ホルモンは熱産生・脂質分解作用・糖代謝に関与・発生成長に関与にています。甲状腺腫大の作用部位は核の中の蛋白合成、エネルギーの代謝の活性です。甲状腺ホルモンの投与で、食欲・眼の輝きなど投与によりエネルギーの代謝の活性は1週間以内で変化が診られます。しかし皮膚科的異常・1-3ヶ月以内、神経的異常・1-3ヶ月以内の時間がかかります。それ以上かかるようなら他の原因をさがす必要があります。
犬専用の甲状腺ホルモン剤
注意
甲状腺ホルモンは人では半減期1日ですが、犬は半日で90%を排泄してしまいます。
そのため人に比べて多量の甲状腺薬が必要になりますのでよく担当獣医師とお話ください。
【関連記事】
■犬の診療
■猫の診療
■ウサギの診療
■ハムスターの診療
■フェレットの診療
■小鳥の診療
■モルモットの診療
【break time】
投稿者: