小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2016.07.24更新

おdog犬の糖尿病、ノボリンRが効果あった症例


  症例は7才雄のミニチアシュナウザー雄です。多飲・多尿を主訴に来院しました。あ

 血液・生化学検査、尿検査をおこない 臨床症状 血糖313mg/dl、 尿糖(+)、糖化アルブミン 14.8%、インスリン5.03ngmlの結果を得て、犬では珍しいⅡ型糖尿病と診断した症例です。

 そこでインスリン製剤として、ノボリンNPH(写真左)の皮下注射をおこないました。しかし1週間たっても臨床症状の改善もなく、血糖の低下もありません。

  次にインスリンレペニルを使用しましたが、同様の結果でした。

 血液・生化学検査、尿検査からインスリン抵抗性疾患は疑いにくいため、もっとも吸収性がよいインスリン、ノボリンRの皮下投与に切り替えました。

 すると血糖は下がり、その後糖尿病は良好に維持しています

1

1 写真 ノボリンNとノボリンR 表面と裏

 名称のRははでレギュラー(Regular 正規)に由来します。
 速攻型インスリンで長所は吸収が良い点です。欠点は作用時間が短く、この症例は1日3回の皮下投与が必要です。 臨床の場では インスリン抵抗性を疑う前に投与して、血糖減少があるか、投与する必要がある薬剤です。
 
 通常インスリン分子は、亜鉛分子を中心とした倒立した三角錐が6つ集まった立体構造=6量体をとり、この構造で溶媒内で安定性を保っています。6量体で投与されたインスリンは皮下組液により希釈され2量体、さらに単量体へと解離し、毛細血管から吸収され、作用を発現します。

 この項、冒頭で紹介したノボリンNの正式名称はNPH(Neutral Protamine Hagedorn)で、6量体の回りに、鮭の精巣から分離、合成したした硫酸プロタミンが配布されています。そのため注射液は混濁しています。1回の注射でインスリンを長い時間作用させることにはできることが長所で、通常はこの薬剤でコントロールされることが多いです。しかし本症例のように希に、吸収問題が生じる場合もあります。


 

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【break time】

  インスリン製剤は各社いろいろ作用時間など改良すると新しい特許が発行されます。これを「エバーグリーニング(evergreening)」と呼び、特許を取得したメーカーが永遠に独占できるようなシステムになっています。そのため、レギュラー(Regular)、NPH(Neutral Protamine Hagedorn)の両インスリンは本邦ではノボ社とイーライリリー社からのみ販売されています。ジェネリック薬の製造はありません。なお写真のノボ社のインスリンのNPH製剤は、現在ボトルタイプは製造中止のため、イーライリリー社のヒーマリンNを使用する必要があります。

a「エバーグリーニング(evergreening)」は直訳すれば、緑が絶えるこののない「針葉樹林」を指しますが、薬学的には特許を取得したメーカーが永遠に独占できるようなシステムのことを示します。(写真・山形県羽黒山の杉並木、7月)


 

投稿者: オダガワ動物病院

2016.07.11更新

おdog犬のアトピー治療薬、アポキル錠が販売されました。


  犬のアトピー性皮膚炎の治療薬、アポキル錠が2016年7月に販売されました。成分名はオクラチニブで、犬の痒みに対し、即効性があり、副作用が少なく安全性を兼ねそなえた今注目の薬剤です。(注意・この薬剤は猫には効果はありません。)

 犬のアトピー性皮膚炎の治療は、これまで経口ステロイド剤のプレドニゾロン等が主剤で使用されてきました。しかし副作用のある薬剤なので、長期の使用法には注意が必要です。

 そのためここ数年は維持には、副作用が経口ステロイド剤より少ない、経口シクロスポリン剤、外用ステロイド剤 、注射用犬インターフェロン製剤などがよく使用され、それなりの効果はある治療法として紹介されています。

 しかし経口シクロスポリン剤はソフトカピセルなため犬は飲ましずらく、最初は経口後嘔吐が多く、効果発現に時間がかかり、免疫抑制薬剤である点、外用ステロイド剤は局所の適用のみで広い皮膚病変には限界のある点、また注射用犬インターフェロン製剤は1-2週間に1回は動物病院に通わなければならならず、経口シクロスポリンと同様、効果発現に時間がかかなど問題点もありました。
 経口シクロスポリン剤と注射用犬インターフェロン製剤は高価剤である点も問題点でした。

 1 アポキル錠

 今回発売されたアポキル錠は、犬の痒みに対し、短時間で示される即効性と、副作用が少ない安全性を兼ねそなえた薬剤です。本院では価格もシクロスポリンと注射用犬インターフェロン製剤と比べて安く処方できます。

 作用機序は、アレルギーに関わる各種サイトカインのシグナルを伝達するヤヌスキナーゼ(JAK)経路を選択的に阻害し、免疫系への影響は最小限に、痒みと炎症の早期緩和をもたらします。この経路はヒトのアトピー性皮膚炎で注目されていましたが、動物では犬用としてヒトに先駆けて販売されました。

 皮膚の痒みは炎症などで、サイトカインなどの痒みの誘発物質が放出されることでおこります。そのため、この薬剤はアトピー以外の痒みも止めてくれる期待もありますが、感染性(細菌、真菌、寄生虫)の皮膚炎では、この薬剤を使用するより、それらの駆除が大切です。

 使用法は、最初の2週間は1日2回で、以後1日1回で投与が必要です。また新しい薬なので、海外の使用例を含めて、これまで使用期間が2年間しかないため、2年以上の長期使用の場合は今後の検討が必要です。

 本院での使用例はまだおおくはありませんが、痒みはステロイド剤使用と同じ位の期間で止まり、とくに目立った副作用は経験していません。

 なおこの薬剤は動物用医薬品で、処方には必ず獣医師の診察が必要です。本院で処方希望の方は、診療時間内に犬ちゅんをつれてご来院ください。

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使用例

あ

 今年から、引っ越しのため本院で診療した7才の雌の犬ちゅんです。毎夏(6月ー9月頃)になると腹部が赤くなり前院でアトピー性皮膚炎と診断された症例です。昨年までこの時期のみステロイド剤を処方されていました。ニキビダニ症、マラセチアを除外診断して、今年からは上記の理由で、アポキル®を処方しました。


 

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あglitter3大日岩(奥秩父、10月)


 

投稿者: オダガワ動物病院