3歳セキセイインコのメガバクエリア症(川崎市多摩区、オダガワ動物病院)
2017.01.28更新
■3歳セキセイインコのメガバクエリア症、
エキノカルデン製剤を使用。
元気なく、昼でも寝ていることが多く、1日1-2回嘔吐が診られた3歳のセキセイインコ 雄です。
他院で、約2週間、抗菌剤、胃腸の薬剤を投与したが、悪化をたどることで来院しました。
動画、写真で棍棒状に診られるのがメガバクテリュウム⇩です。
メガバクテリュウムは現在は真菌に分類されます。
この症例は抗真菌剤投与(エキノカルデン製剤)4日間連続の筋肉内注射で鳴くようになり回復しました。
しかしすべてのメガバクテリュウムが回復する訳ではありません。
本院の経験では約30%のセキセイインコがメガバクテリュウムをもっています。セキセイインコを飼育させたら、鳥類診療可能の動物病院で検便をしてもらうことをお薦めします。
メガバクテリウム症はセキセイインコ、カナリア、キンカチョウ、マメルリハインコ、オカメインコなどに感染した場合生死にかかわる病態に発展する場合もあります。ブンチョウ、ボタンインコ、小桜インコは重篤な障害になることは稀です。
使用薬物 エキノカルデン
■エキノカルデンはキャンディン系とも呼ばれ、新しい分子構造および作用機序をもつ抗真菌薬です。
福島県木戸川流域の土壌から分離された糸状菌Coleophoma empetri の培養液より単離されたリポペプチド抗真菌物質FR901379 を側鎖変換し創製された化合物です。
■作用点
作用機序は真菌の細胞壁の主要構成成分の産生に関与する1,3-β-グルカン合成酵素の活性を特異的に阻害して抗真菌作用を発揮します。動物の細胞壁は主要構成成分が異なり、1,3-β-グルカン合成酵素は必要なく作用点がないので副作用は少ない薬剤です。
この薬剤は経口吸収はしません。
ヒトは点滴静注ですが、鳥類では筋肉内に投与していますが効能は十分あると考えられます。
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