小鳥、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットと小動物の専門的な診療を続けてきた動物病院です。
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2018.06.03更新

あdog進行性網膜萎縮(PRA)のダックスフンド


ダックスフンドの雄、10歳で3年前より家の中での動きがおかしいことで来院しました。

 ヒトの網膜は明るいところで働きますが、イヌの網膜は暗いところで働けるように眼底にタペタム{日本語訳では輝板(きばん)}という構造があります。そのためイヌは暗所でも目が光ってみえます。タベタムは1歳になるまでは青く、1歳以後は個々に黒、オレンジ、黄色など様々な色になります。

  網膜は硝子体側より内境界膜、神経繊維層、神経節細胞層、内網状層、外網状層、外境界膜、視細胞層、(以上感覚網膜)網膜色素上皮層の10層からなります。網膜は5種類の細胞があり、各層複数の細胞が存在して、他の組織とは異なる形態を示します。これら5種類の細胞は外からの刺激(光)を吸収し電気信号へと変換して脳に伝えます。最も重要な視細胞は視細胞層から外網状層あたりに存在し、明所で機能する錐体細胞と暗所で機能する杆体細胞があります。この視細胞に障害を及ぼし視力障害を呈するのが、進行性網膜萎縮という疾患です。

 

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行動の変化と、眼底所見で診断したダックス・フンド 

 進行性網膜萎縮はダックスフンドが好発犬種ですが他の犬でも発生します原因は常染色体劣性遺伝でおきます。これまでいくつかの遺伝子が発見されています。将来的には遺伝子の種類に分けて病名が変更になるかもしれない疾患です。これら遺伝子があるイヌ同志は交尾させないことが対策です。この進行性網膜変性はこれら遺伝子の異常で、視細胞(錐体細胞、杆体細胞)にアポトーシスが徐々におき発症します。発症時期は早発型と遅延型があります。

 診断は行動の変化と、眼底所見で判断します。
 行動の変化はダックスフンドの多くの場合、最初薄暗い場所で行動に変化がでます。早発型は1歳ごろから行動に変化が診られ、2-3才で眼がみえなくなることが多いです。遅延型は5歳ごろから行動に変化が診られ、7-8才で眼がみえなくなることが多いです。
 眼底検査では網膜が全体に薄くなるため、網膜の血管の狭細、タペタムの反射亢進、ノンタペタムの色素沈着が診られます。

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治療

 残念なことに進行性網膜変性は診断できても、有効な治療があるわけではありません。抗酸化剤の投与で、気持ち進行が抑えられるぐらいです。


アスタキサンチン含有サプリメント
 

 アスタキサンチンは、自然界が生み出す代表的な色素の1つです。脳関門を通過することができるため、目の病変の予防と治療に効果があるとされています。 犬では進行性網膜萎縮の初期、また白内障、緑内障の進行予防に期待されてますが、個人の感想では使用して効能はいまいちです。

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ルティン製剤含有サプリメント

 この症例はルテインを使用しましたが、効能は同様にいまいちでした。



bookright arrow緑内障とは
bookright arrow正しい点眼法
bookright arrow眼軟膏とは

 


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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.03更新

o

bookオーナーの不注意で薬物の多量の誤飲例
以下は本当のあったケースです。
犬用・人用の薬剤は必ず犬の届かないところで保管してください。



●リマダイルのケース
 


  写真のリマダイルは犬用の非ステロイドの薬剤です。他院で骨関節症と診断され、毎日リマダイルをのんでいたそうです。
 1日1回飲めばよい薬剤ですが、ある日買い物から帰ると90錠近くあった薬の中が空で「びっくり」して本院に電話してきたケースです。
 その後かかり付けの先生と連絡がとれて、そちらの動物病院に来院したらしいので予後は不明です。
理論的には致死量になりますので予後は心配です。
 犬ちゅんが飲みやすくしたチュアブル製剤を犬舎の上においたままの状態で保管してたそうです。
犬ちゃんはこの薬剤をオーナーが買い物にいけばチャンスとおもい飲んでしまいます。



●フィラリア予防薬のケース

 


 この薬剤はフィラリア予防薬のチュアブル製剤です。ビーフジャキーを連想させる作りになっているチュアブル製剤なので美味しそうにできています。
 本院ではフィラリア予防は5月から11月まで月1回予防薬を飲むことを薦めています。(合計7錠)
  これも同様のケースで、犬ちゅんが飲みやすくしたチュアブル製剤を犬舎の上においたままの状態で保管してたそうです。
 やはりある日買い物から帰ると7錠の薬剤を全部のんでしまい「びっくり」して本院に電話してきたケースです。
 フィラリア予防薬のイベルメクチンは7錠飲んでも、理論上は大丈夫ですが、気をつけてもらいたいものです。この事件は毎年1-2件起こります。 この犬はなんの異常も見られませんでした。



●ヒト用の非ステロイドのケース

 
 ヒトは1錠が適用量の頭痛・生理痛薬を10錠飲んだ柴犬です。回りが糖衣錠で甘くできています。オーナーがハンドバックがら出して、美味しそうに薬剤を飲んだ振りをしていたら、オーナーの眼を盗んで、ハンドバックをあけて10錠近く飲んでしまいました。
 夜間の緊急動物病院で落ち着きましたが、帰宅したら痙攣が止まらなくなり、以前から診ていた本院に来院しました。
 抗痙攣薬を使用して痙攣をとめ、、輸血をして回復には2週間かかりました。最初の1週間は生死をさまよいました。

 


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2018.06.03更新

adog犬の代表的な外部寄生虫


a

■犬のノミ症 
 犬にノミが感染すると、皮膚は「黒こしょう」のようにつずつずが診られます。
 日本では犬も猫ノミが殆どです。

 ノミが犬の体に寄生すると、かゆみのためにひっかいたりかんだりして皮膚炎を起こします。
 犬だけでなく、飼い主を刺すこともあり、激しいかゆみや皮膚炎を起こすことも少なくありません。
 またマンションなど密閉された環境で飼育している場合も最近ノミを診ることも多くあります。

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a

■犬のマダニ症(dog tick right arrow詳細はこちらへ
 写真のようなマダニが皮膚に寄生します。

 マダニは川沿い、野山の草に潜んでいて犬に感染します。
 新聞、ワイドショーで報告のあるright arrowSFTSウイルスはこのマダニの中に潜んでいます。
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a■犬の疥癬 sarcoptieccanisright arrow詳細はこちらへ
 犬の疥癬は皮膚の角質層に感染して、激しい痒みを示す疾患です。
 耳、鼻、腹部など皮膚の薄いことろにが好発部位です。
20年前はよくありましたが、最近は殆ど診なくなりました。--------------------------------------------------------------------

a■犬の耳ダニ 
  
耳の中から黒い耳垢がでてききて、犬ちゃんが異常に耳を痒がる場合は耳ダニがいることが多いです。
 早く来院すればほぼ治る病気です。経過が長いと内耳に炎症が及ぶこともあり、その場合は大変で,耳ダニはいなくなっても内耳障害は残ることもあります。
 
 また犬の耳ダニはヒトへの感染がある意見もあります。また耳の中が黒くても他の耳疾患のこともありますので、早く動物病院で診療をお薦めします。
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a

■犬のニキビダニ症Demodex canis) 
 生まれたときはニキビダニはいませんが、母犬から子犬は感染します。そのため殆どの犬はニキビダニはもっています。
 
 若い犬は(主に1歳未満)自然治癒する場合もありますが、また十分な免疫ができていないため、個体によっては皮膚病になることがあります。この場合は1歳位で自然治癒する場合もあります。

 年齢(主に1歳以上)が経ってからのニキビダニは基礎疾患を考えなければなりません。しかしみつかりにくいのが現状です。

 


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2018.06.03更新

おdog犬疥癬はヒトに接触感染します。


あ

 世田谷区からセカンドオピニオンで来院したケースです。2歳の雄のプードルです。家庭に来た時から、耳介、ひじやかかとなど被毛の薄い部分が『粉をまいたような皮疹疹』ができて、犬はひどいかゆみに悩まされていました。そして次第に病変は拡大していき、全身が激しい痒みがおき、皮膚は厚くなり悪化傾向になったため、本院を訪れました。

あ診断は皮膚の掻爬検査で疥癬を見つけます。


あ オーナーの腕です。オーナーも犬を飼育してから、慢性の痒みに悩まさせていました。疥癬はヒトにも一時的に感染します。

腕などが吸血されやすい部位です。

この症例は疥癬の駆虫剤で犬もヒトもよくなりました。


 

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2018.06.03更新

あdogアメリカンコッカスパニエルの難治性外耳炎の治療法の考察


 

あ

 耳漏がみられた10歳雌のアメリカンコッカスパニエルの症例。培養検査よりproteus属が分離されました。薬剤感受性試験より分離菌はペニシリン、セロスポリン、カルバペナムが感受性を示しました。従来の点耳薬、また耳の酵素剤では良化はありませんでした。

 アメリカンコッカスパニエルは難治性外耳炎の多い犬種です。普通の犬は外耳の線維化が主な病変ですが、アメリカンコッカスパニエルは耳垢腺過形成などの変化により慢性経過をとります。

 治療は通常の内科療法では予後が良いとはいえません。外科による鼓室法切開、耳道切除もありますが、かならず長期予後が良いとはかぎりません。数ケ月、数年後に再発を認める症例も中にはあります。
 
 そこで、いろいろ書物をしらべてたり学会に参加してみると、何例かは内科的治療で管理できる状態まで持ち込める症例あらわれたので、ここに紹介します。

 時間は早くて2-3ケ月かかります。まず耳道を開く必要があるので、局所ステロイドを点耳使用します。また必要に応じて可能なら、経口ステロイドも併用します。耳道が開いたらカテーテルを使用して耳中を洗浄します。耳道が開けば薬剤の浸透もよくなり、必要に応じて抗生剤の点耳薬などの併用も加えています。この状態までいくと膿もなくなり、耳垢も減少して良好な状態を保てる症例もいます。しか中耳炎を併発している場合もあり、すべての症例が良い方向になる訳ではありません。

アメリカンコッカスパニエルの外耳炎は難治性のことが多く、担当獣医師とよくインホームドコンセントをとって進めていくことが大切です。


 

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【break time】
あ

 flower2バラ

 

 

 

投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

あdog犬小回虫(Toxascaris leonina


 
本症例
 
犬小回虫・虫卵 顕微鏡写真(×1000)

 4月に田舎に帰省していたら、『便の中に虫が診られたり』、『胃の中から白い虫のようなものを吐くことがある』との稟告で、1歳のワイマラナーが多摩区南生田から来院ました。検便で犬小回虫が発見されました。

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■生活史
 犬小回虫は犬猫はじめ、多くの犬科、猫科動物に感染します。年齢抵抗性もなく、原則的に気管移行はなく、胎盤感染、乳汁感染もありません。

小腸内の雌成虫は未分化卵を産み、糞便中に虫卵がでます。外界の虫卵は7日位で感染虫卵になります。

この感染虫卵を犬猫が摂取すると、十二指腸で仔虫が孵化し、腸壁に侵入し、そこで14-18日までに、第四期感染仔虫になります。
35-42日目に小腸に成虫が診られ、感染後60日位で虫卵が排泄されます。

待機感染あり
 感染虫卵を齧歯類など(ネズミ、ウサギ、ニワトリなど)が待機宿主にをたべられると、仔虫は腸壁に侵入して、ネズミではそこにとどまったのち、体内移行を行って主として骨格筋にはいります。これを犬猫など固有宿主が摂取すると、腸管で直接発育して、8週間後虫卵が排泄されます。

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■治療
 
 駆虫薬としてドロンタール・プラス®を処方しました。上記で説明したように、犬小回虫はプレパテント・ピリウドは約2ヶ月なので、その時期に2回目の投与のため来院を指示しました。

あ ドロンタール・プラス®

 この犬はレボリューション®でフィラリアの予防はしてました。レボリューション®の欠点として、犬回虫の駆虫には弱いことが挙げられます。そのため犬小回虫も駆虫できず感染してしまったと考えています。
 臨床症状を頻度に示すようなら、定期的な犬小回虫の駆虫薬投与や、散歩コースの変更が必要になります。 


 

【他の動物の回虫症は】
dogright arrow犬回虫
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chickright arrow烏骨鶏の回虫症
chickright arrowハト回虫虫卵と成虫標本 

 


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

あdog犬のジアルジア(Giardia)症


 
camera写真① バイエル社資料より

 ジアルジア症はヒト(Giardia.Intestinalis、Giardia.Lamblia)、イヌ(Giardia.canis)、ネコ(Giardia.cati)などで種は異なるとされてましたが、最近、遺伝子研究が進み、何れも性質が似てる点が多い結果からすべてGiardia.Intestinalis様の感染に起因する疾患と定義されるようになりました。
 よって犬から人へ感染する場合も理論所は希にあります。(camera写真①) 

 栄養体(トロフォゾイト)と嚢子(シスト)の2形態からなる原虫です。感染様式は糞から口へシストを経口摂取することによりおこります。ジアルジアはもともと水中で生活した関係で、水分の多い環境では長期に生存しますが、乾燥には弱い特徴があります。

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dire診断

あ
camera写真②(アイデックス社資料より)

あ
camera写真③ 便を直接鏡検したジアルジア、
トロフォゾイト(アメーバ状)とシスト(台形状)

ジアルジアの直接鏡検法の検出率(院内検査法)は
camera写真②のアイデックス社資料を引用よると

感度27%、特異性31%しかありません。

あcamera写真④、特異抗原の検査(スナップ・ジアルジア)陽性例

 そこでG.Intestinalisの特異抗原が使用されているスナッツプ・ジアルジアを使用すると、camera検出率は感度90%、特異性96%と有意に上昇します。(写真②アイデックス社資料)
 そのため診断には直接鏡検に加え、特異抗原の検査が大切です。

 スナッツプ・ジアルジアを使用した別の報告でも、ジアルジアは全国14ヶ所371頭27種類の犬種の調査では、陽性率は6.7-59.3%と高い値を示しています。
年齢別では1-9ヶ月 54.9%、成犬では30.9%がジアルジア陽性でした。
 幼犬を中心に一番犬が感染する寄生虫と推測されます。

 スナップ・ジアルジアは犬限定なため、犬以外の動物で便が多くとれた場合は検出率をあげるため、直接鏡検に加え硫酸亜鉛7水和物による浮遊法を使用する場合もあります。下記詳細。
 硫酸亜鉛7水和物33.3g/水道水100ml(比重1.18)①液を作成、スピッツ管に便O.5gと①液を1/3-1/2位加え十分攪拌する。
 ガーゼ1枚で別のスピッツ管にろ過し、ろ過液に①液を加え管口から1cm位に調節する。
 2000-2500rpmで5分遠心すると虫卵、シストは最上層に浮遊する。管口よりかずかに盛り上がる程度まで①液を加え、ただちにカバーガラスを乗せて5-10分間後に鏡検する。硫酸亜鉛12水和物の使用は意味なし、必ず7水和物を購入のこと。

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dire症例
 
先日の症例は購入したばかりの子犬が下痢が止まらず来院しました。検便では陰性でしたが、特異抗原検査(スナップ・ジアルジア)では陽性を示し、(camera写真④)メトロニダゾールの投与でよくなりました。
 ジアルジアの吸着円盤が消化管の管腔内壁に付着すると、腸管の栄養を吸収する上皮に吸盤が付着するため、食べ物の吸収がうまくいかず、浸透圧下痢をおこし脂肪便になることがあります。
 この症例は下痢の症状がありましたが、特異抗原検査が陽性でも無症状な犬もいます。子犬のジアルジア感染は90%が1歳位になると自己の免疫力で自然治癒する意見もありますが、最近は遺伝子検査によりヒトに希に感染する可能性が指摘されているので、駆虫した法が良いと本院では考えています。

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dire生活環
 生活環は単純でトロフォゾイトとシストの2形態からなります。
感染様式は典型的な糞から口への感染で,シストを経口摂取することにより感染します。

 顕微鏡ではトロフォゾイトは直進性運動をしますが、シストは台形様に診られます。(camera写真②)感染の能力があるのはシストのみです。下痢の激しい疾患では、シストの形成ができずトロフォゾイトのみ排泄される場合もあります。
 トロフォゾイトは外界で死滅しますが、シストは排泄と同時に感染力を獲得しますので家庭では早めに便の処置が必要です。特に水分の多い環境では長期に生存します。環境中のシストの除去のため、トイレ、床は可能なら熱湯消毒がベストです。熱湯消毒できないものは日光消毒、アイロンの噴霧機能がお薦めです。犬に下痢便が付いた場合は、シャンプーもよい方法です。なおシストも乾燥には弱く、短時間で感染力はなくなります。
 犬猫における生活環の詳細日数は不詳ですが、ヒトではジアルジアはシストの経口感染で、感染後6-15日で典型的な症状がでて、急性期2-4日経過、その後治るか、慢性期に移行するそうです。プレパテント・ピリオドは実験例で犬、5-12日(平均8日)、猫、5-16日(平均10日)と報告されています。

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dire治療(駆虫薬)
 抗原虫薬フラジール®(成分名、メトロニダゾール )camera写真⑤)の投与で70%はよくなります。
 効果ない場合はチニダゾールcamera写真⑤)、ドロンタールプラス®camera写真⑥)また一部の抗生剤を使用しています。しかし原虫の感染数が多かったり、飼育環境が劣悪だと、次から次と感染がおこり、駆虫薬も効果を示さない場合もあります。そのため上記した消毒との併用は大切です。
 単独飼育のときは7日位で回復することをが多いです。多頭飼育の環境(約20頭位)にいるジアルジア駆虫を診療したことがありましたが、同時駆虫薬の使用をおこない、熱湯消毒を徹底させましたが、完全駆虫には半年ぐらいかかりました。 

 あ
camera写真⑤) 抗原虫薬フラジール®(成分名、メトロニダゾール Metronidazole)と
ハイチジン(成分名、チニダゾール、Tinidazole

あ
camera写真⑥)ドロンタールプラス®

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【他の動物の原虫疾患は】

 


 

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2018.06.02更新

あ dog犬の糞線虫


  私の開業している地域では糞線虫まず診ません。東京・神奈川では少ないのかもしれません。
 犬では九州・沖縄地方が多いことが記載されている本もありますが、東北地方の動物病院の研究報告も診ます。
 犬はしつこい下痢で来院します。粘膜に穿孔している寄生虫ではないので、血便は殆どありません。診断は新鮮便でラブジチス型幼虫をみつけます。(L1・雌2mm)しかし検出率は良くなく、複数検便が必要な場合もあります。

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■寄生は雌のみ  
 この寄生虫は動物(犬・人にも)感染しすると、ラブジチス型幼虫(R型)という形式で小腸に感染します。寄生すると雄は必要なくなり、処女生殖で数時間で卵内に幼虫が形成され孵化していきます。この孵化した幼虫をラブジチス型幼虫(L1)と呼び、腸腔に出て糞便を食べて成長しラブジチス型(L2)になり外界へ排便と共に出されます。

■外界での発育  
 ラブジチス型幼虫(L2)は、その時の環境で二つの道(①寄生世代・②自由世代)のいずれかをとって発育します。
 おおまかな検討はされていますが、どちらの世代をとるか詳細はよくわかっていません。

■外界での発育①  
 ①不利な条件下では24時間で寄生世代(別呼・直接発育)になることが多いです。
 ラブジチス型幼虫は二回脱皮をして古い皮を被ったフイラリア型(F型・L3)の感染幼虫になります。フイラリア型の特長はラブジチス型幼虫と異なり、口が閉ざされ栄養物を取れないので、一定期間しか生きられないことです。
 その間に犬・人の皮膚から侵入したり、また経口感染できればフイラリア型から動物体内でラブジチス型幼虫になり、次の世代を残せますが、感染の機会がなければ死んでしまいます。

■外界での発育② 
 ②食事が十分にあって、温度も適温で(20-30度)、混み合っていないときは自由世代(別呼・間接発育)を選ぶ傾向が多いです。
 この経路はラブジチス型幼虫(L2)のまま4回脱皮を重ねて36時間前後でラブジチス型幼虫(L5)にまでなり、雌雄の各々の成虫に変化し交尾します。しかし雄はすぐに死亡し、雌も同様卵を産むとすぐに死亡します。寿命は二日間ぐらいしかないそうです。
卵はすぐ孵化してラブジチス型幼虫(L1)として生まれますが5-6日でラブジチス型幼虫(L2)を経て、フイラリア型幼虫(L3)となり、寄生世代との共通経路に入り同様の運命を辿ります。

■その他の発育
 ③他にラブジチス型幼虫が腸内で自家繁殖する経路が知られています。この経路が活発になると人では重傷化します。

 以上糞線虫はこのようなバリエーションの多い生き方をしているので、駆虫薬が効きにくい訳です。

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dire他の寄生虫
tigerright arrowウリザネ条虫の猫
rabbitright arrowウサギのコクシジウム症
chickright arrowハト回虫 虫卵と成虫標本
bookright arrowマンソン裂頭条虫
dogright arrow犬回虫症
tigerright arrow猫回虫

 


 

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投稿者: オダガワ動物病院

2018.06.02更新

おdog犬のバベシア症


 犬のバベシア症は主にマダニの媒介犬の赤血球内に寄生する原虫疾患です。本邦では西日本に多い病気です。しかし①西日本からの引越し、②また犬と一緒に西日本への旅行したあと、③闘犬の多い地では関東・東北などでも稀に発生あり注意は必要です。
本邦での感染は病原性の高いBabesia gibsoniがほとんどで、病原性の低いBabesia canisが沖縄のみにいる程度です。
 神奈川の当院では以前、大阪から引っ越してきた犬で診た経験が数例ある位です。


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●感染様式
 マダニに刺されるか、闘犬で感染します。
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●症状は
 3週間の潜伏期間をへて、元気消矢・食欲低下・発熱・体重減少・溶血性貧血などをおこします。
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●診断
 血液塗抹標本から赤血球内のバベシアを探します。しかし効率のよい診断法ではないため疑われる疾患では、遺伝子診断が使用されています。またマダニの予防歴や、西日本への旅行歴も診断の補助になります。
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●治療
  犬のバベシア症はヒトのマラリア症に似ている関係で、マラリア症に使用されるクリンダマイシンの単独投与や、またメトロニダロール、ドキシサイクリンとの3剤併用療法があります。しかし以上の抗生物質療法は効率のよい方法ではありません。あくまで補助療法になります。
 駆虫には2009年ごろに再発売されたジミナゼンジアセチュレート注射剤(カナゼック®)の使用、またアジスロマイシン・アドバコン(日本なし・本院も取り扱いなし)の併用投与があります。しかしどんな薬剤を使用してもバベシアを完全に除去できる治療薬はありません。増殖を抑え、症状を緩和させる治療が限界です。免疫力がおちると再発する場合もあります。一度罹患した犬は通年のマダニ予防と定期的な通院が必要です。またこれら駆虫剤は 副作用も多く、投薬後は注意が必要です。

 


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tigerright arrow猫のヘモプラズマ
bookright arrowコンフォテンス錠(成分名スピノサド)
bookright arrowマダニの生態
dogright arrow犬の代表的な外部寄生虫
rabbitright arrow偶然発見したウサギのツメダニ
rabbitright arrowウサギにおけるノミ幼虫の発見
dogright arrow犬猫の注射による「避妊」について
dogright arrow犬の去勢手術(雄)


 

 

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2018.06.02更新

おsheep子犬の下痢


a子犬が急に下痢になりました。昨日、川崎市の夜間で処置をしてもらい下痢は止まっていました。今朝確認のため来院しました。

aウサギの酵母菌⇩

本院の検便ではウサギの酵母菌が診られました。right arrowウサギの酵母菌は時々犬でみますが、ひどい下痢になった記憶はありません。

aジアルジア検査(陽性)

 子犬の下痢で多い疾患に原虫疾患のright arrowジアルジアがあります。このジアルジアの特長は、顕微鏡での糞便検査ではなかなか発見されません。そのため抗原検査が必要です。

 この症例は遺伝子検査は陽性でしたが、本日は下痢は止まっているので、right arrowジアルジア駆虫は行いませんしでした。

 陽性でも便が普通ならright arrowジアルジア駆虫は行わなくてもよいケースもあります。その理由は1年位たつと免疫で自然治癒することも多い原虫のためですが最近は駆虫する傾向になっています。

しかし最近はヒトの感染する可能性が示唆されており、駆虫を推進する意見が多いです。


 

dire他の寄生虫疾患は
tigerright arrowウリザネ条虫の猫
rabbitright arrowウサギのコクシジウム症
chickright arrowハト回虫 虫卵と成虫標本
bookright arrowマンソン裂頭条虫
dogright arrow犬回虫症
tigerright arrow猫回虫

 


 

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投稿者: オダガワ動物病院

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